
今日は日本橋は残暑が厳しいですのに、街角には秋の草花が咲き始めておりまして、秋の気配を感じつつ、まだセミの鳴き声に辺りの喧騒はかき消されるような日でした。
皆さまは「蝉の羽衣」と喩えられますきものをご存知でいらっしゃいますか。
沖縄で古来から、夏の衣として欠かすことの出来ない織物「芭蕉布」の別名でございます。
芭蕉には、実芭蕉、花芭蕉、糸芭蕉があり、この糸芭蕉から取った繊維で織られていまして、13世紀の頃に起源をもとめることが出来るようでございます。
麻よりも繊維が堅く、軽さと張りが特徴で、とてもさらりとした質感です。
こちらの画像は、2000年に人間国宝に認定されました平良敏子さんの作品でございます。
「芭蕉布づくりは糸次第」「糸と相談しないと何もできない」と平良さんは語られています。それだけ、芭蕉布は糸を作り上げるのに大変な労力を要します。
材料の糸芭蕉は収穫までにまめな世話が必要で、一本から作られる繊維は約30グラムです。そして、皮を剥ぎ、灰汁(あく)で煮てから竹のはさみ「えーび」でしごくなど工程は20を超えます。いわゆる「織りは全体の百分の一」と喩えるのもそれだけの複雑で高度な作業であることによります。
清々しい風を衣にしたような平良さんの作品は、伝統的な芭蕉布の継承し、守りながらも、現代の色彩感覚、意匠は留まることを知らぬかのように未来を感じさせて下さるかのようです。
大変な好評をいただいています萌の沖縄染織の展示もついに明日までになっております。
最終日の明日、ぜひ皆さまのお立ち寄りをお待ちしています。


お草履を履かれたあと、皆さまはいかがされていらっしゃいますか?
「きもののとびら」の<1>は、何事にも始めの一歩があるということで、その一歩を印す、お草履のお話しをはじめましょう。